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空の色

入院

土日をはさんでいざ入院となり、ドキドキしながら病院へ向かった。

一通り説明をされ、書類を書き、病室へ案内された。
 
CT、MRIなど検査をし、手術することになった。

 腫れている卵巣を切ってみて病理検査。そう説明された。

書類には、病院で普通書かされる問診と、はじめてみる質問があった。
  “何でもいえる相談相手はいますか。それは誰ですか?”
  “尊敬する人はいますか。それは誰ですか”
  “ガン告知はされたいですか”
 深く考えずにパパッと書いた。告知はして欲しいと、、、。まさか自分が、、、。

卵巣脳腫で入院している人はたくさんいた。みんなすぐ退院していて心強かった。

同じ日に手術した人たちが次々と退院していく。1週間、2週間。

手術の傷もだいぶ痛みがひき、退屈でしょうがなかった。
 
彼氏、友達がお見舞いに来てくれたりして、早く退院したかった。

その時点でも、私はこんなことになるとは予想もしていなかった。
 
 
やっと、結果が出たからと、先生に呼ばれた。両親もやってきた。
 
ある一室で、先生、看護婦さん、両親、私の5人で。
 
少し沈黙の後、先生が、口を開いた。
 
『検査の結果、悪性でした
 
頭が真っ白。何?悪性って?先生が今後治療について話してる。でも聞こえない。耳に入らな

い。お母さんは、どんな顔してる?笑顔にならなきゃ、心配する。でも、でも真っ白。

お母さんは、『そーですか、はい、はい』とうつむき加減で聞いている。
 
悪性って、ガンだよね、そう理解できたのは説明が終わってからだった。
 
 
その時点では、だいぶ進行していたらしい。腫れすぎてて採れなく、検査に出す部分だけ採って

閉じた。口には出さないけど、手遅れ。だたらしい。 

 でもまだ22歳。抗がん剤投与して少しでも小さくして、卵巣、子宮全摘出。そう言われた。

 頭が真っ白で、何がなんだかわからなかったけど、一番気になることがあった。
 
子供のこと。 先生の説明が終わり、両親と、看護婦さんとの4人になってから、思い切って聞

いてみた。 看護婦さん、辛そうな顔して静かにうなずいた。その瞬間目に涙があふれてきた。

 両親にはその姿見られたくなくて、すぐに帰ってもらった。
 

 歯を食いしばり涙をこらえて、病室に戻った。愛犬のぬいぐるみを見た途端こらえていた涙が

一気に出てきて抑えられなかった。
 
一人になりたくて、病室を飛び出し、診察の終わった暗い病院のソファーで放心状態。
 
いろんなことが頭をよぎった。治療の不安、今後の生活の不安、子供が産めなくなる不安、

彼氏の反応。
 
当時の彼氏にメールを送った。『ごめんね』と一言。
 『冗談だろ』と返ってきた。冗談だったらいーのに。泣きながら『ごめんね』とまた送った。
 
心配して急いで病院に来てくれた。

 顔を見たら、また涙が出てきた。先生に言われたこと、子供が産めなくなる事、説明した。

 優しく手を握りながら冷静に聞いてくれてた。いっぱいいろんなこと話した。
 
本当は一緒にいて欲しいのに、反応が怖くて、他の人のところに行ってもいーんだよ、なんて強

気なこと言っちゃって。自分が傷つくのが怖いからそんなこと言っちゃったんだろうな。

 『一緒にいるよ、ずっと』 って言ってくれたんだ。『支えるから』って、、、。
 
 

 

 
by kirakirabosiy | 2007-03-21 00:31 | 病気のこと
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